3『二つの問題』 文明には必ず礎がある。 その文明から生み出されたほとんどのものにそれは絡んでくる。 それが無くなった時、文明は滅びる。 栄えた時が嘘だと思えるくらい呆気無く、跡形もなく。 人々が気付くのはいつも滅びる直前の事だ。 それは大抵人には生み出し難いもので、使えば減るものである事を。 自動的に魔導研究所所長という肩書きもついてくるエンペルファータ市長の部屋は魔導研究所の頂上、街で一番高い場所に配置されている。 立方体のこの部屋は四面ガラス張りで、この部屋からは街の端から端までを一望できる。 その部屋の主である恰幅のよい男は黙ってエンペルファータ東口を見つめていた。 すると彼の大きな机にある、倒した円錐型の魔導器が彼の注意を促す電子音を奏でた後、階下にいる秘書の声を届けた。 『市長、行政部長が面会を希望しております』 彼、アルムスは少し間をおいて答えた。 「通してやってくれ」 『承知しました』 暫くして部屋の真ん中にある低い台に描かれた移動魔法陣が輝き出す。 そして魔導研究所の中では異色と言える、エンペルファータの役所のような存在の行政部の長・エイスが入ってきた。頭の頂上からつま先まで完璧に整えられた服装をしており、固く引き結んだ唇と、鋭い双眸からは彼の性格の堅さが伺える。 「失礼します、市長。至急相談したいことがありまして」 一言、上司に挨拶した後、彼は先客がいたことに気が付いた。長身でがっしりとした体格をしており、立派なヒゲを蓄えて、いかにも軍人然とした雰囲気を持つその男は、開発部長兼エンペルファータ魔導士団長のディオスカス=シクトだ。彼は、気にせず続けてくれというように、軽く手を上げてエイスに挨拶をする。 別に聞かれて困る話ではないので、エイスはディオスカスのいう通り、気にせず続ける事にした。 「魔石の件だろう?」 「はい、先日メーアにやった調査団が帰って参りました。もうあそこの鉱山から掘りだせる魔石はないと言うことで、閉鎖が決定したそうです」 魔導文明においてその象徴たるものが魔導器である。 この部屋にある移動用魔法陣も、机の上にある“伝声器”も、そして重要な交通機関となっている魔導列車もすべて魔力で動いている。 では、それらの魔導器を動かす魔力はどこからやってくるのか。 実はこの世の全てにあるものが魔力を帯びている。そこらの草や、石、獣でも勿論魔力は宿っている。 しかしそれでは魔導器を動かすほどの魔力にはならない。しかし世の中に知れ渡っているもので唯一、魔力を多分に含んだ鉱石、それが魔石なのだ。 しかし魔石は所詮鉱石に過ぎず、限りある資源だ。 この百年の魔導文明の進歩は目覚ましいものがあったが、同時に魔石の使用量も激化し、最近あちこちで掘りつくして閉鎖される魔石鉱山が相次ぐようになった。 メーアもそんな魔石鉱山の一つで、一時はこのエンペルファータで使われる魔石の三割を算出していたという実績のある鉱山だった。 現在閉鎖が決定してしまったのがメーアを入れて三件。 今採掘を行っている鉱山はカンファータ、エンペルリース合わせて三十以上あるので世間的にはこの問題は危惧されていないのだが、最近魔石の産出量が激減し、調査団が閉鎖を議論している魔石鉱山は十五件もある。 調査団が閉鎖を決定しなくても、どのみちその魔石鉱山の先は短い。もってあと一、二年が関の山だ。 世間に混乱を起こさないように世間には伏せてあるので問題は表面化しないのだが、今魔導研究所の学者達の間でもっとも盛んに議論が躱されているのはこの魔導問題についてである。 得に魔導文明の中心にあるこのエンペルファータは魔石が無くなればその役割を完全に失ってしまうのだ。 「そうか、それは残念なことだな」 エイスの報告にアルムスは極めて事務的な口調で答えた。 焦りを露にすることを予想していたエイスは、全くその様子を見せないアルムスに眉を潜める。 昨日まで一緒になってこの問題に頭を悩ませていたのだが、この余裕はなんなのだろう。そんなエイスの疑問を見越したようにアルムスは言った。 「実は先ほど、我が研究所の開発部軍事部門に通達が来た。三大国による定例国際会議に、ウォンリルグの代表が現れなかった。ウォンリルグとフォートアリントンを繋ぐ移動用魔法陣は、あちらから封印されてしまったそうだ。 まだあちらにそのような動きは目立たないが、いつ攻めてくるか分からない状況だ。だから魔導兵器の開発を急いでくれとのことだ」 その話を聞いたエイスは、思わずディオスカスに目を向けた。その通達の件で彼はアルムスに呼び出されていたのだろう。 「それが市長の余裕の原因なのですか? 開戦して魔導兵器が使われるようになれば、もっと魔石の減りは早くなるではありませんか」 心配そうなエイスの言葉をよそに、アルムスはどっかりと自分の机に腰を下ろした。 そして、その立派な口ひげを蓄えた口元に、笑いを浮かべて言った。 「そうかね? 私としては向こうが攻めて来る方が有り難いよ。ウォンリルグにはたくさんの魔石鉱山があると言う……もしウォンリルグがカンファータ、もしくはエンペルリースに統合されたりすれば、当分は魔石の心配はしなくて済むというものだ」 「勝つとは限らないのですよ?」 「勝つに決まっている。こちらはカンファータとエンペルリースの二国連合軍だ、しかもその後ろには我が研究所の技術力がついているのだからな」 そう言ったアルムスは、目をディオスカスに向ける。彼は誇らしい笑みをエイスに向けて見せた。しかしエイスにしてみれば、アルムスやディオスカスのそんな態度にかえって危機感を抱きたくなる。 取り敢えず、エイスはこの問題については話が終わったと判断し、次の問題に入った。 「ではもう一つのエネルギー問題、“セーリア”の話に入りましょう」 そう切り出した途端に、アルムスの自信のある表情が更に深まった。 「ふふふ、それに関しても今日解決案を見出した」 「……なんですって?」と、アルムスは表情、口調共に驚きを露にした反応を示した。 エイスとて伊達に行政部長の地位に上り詰めた人間ではない。 実際さっきの魔石問題については、ウォンリルグと戦争にはいるかもしれない事実こそ知らなかったが、ウォンリルグの保有する魔石鉱山には目を付けてはいた。 そしてここに来た時も、ウォンリルグに交渉を試みることを提案するつもりでいたのだ。ただ、あまりに可能性の低い提案ではあったが。 しかし後に回した“セーリア”の問題こそ、本題であり、本当に解決策を見出すのが難しいものだった。 その解決策をもアルムスは見つけだしてしまったらしい。 もの問いたげなエイスの視線を正面に受けて、アルムスは言った。 「可能性は十二分にある。今までに集めたデータと……彼がそう言っている」 「彼?」 先程まで真直ぐエイスを向いていたアルムスの視線が微妙にずれていた。アルムスが見ているのはエイスではなく彼の背後だ。 それに気がついた彼は自分の背後を振り返る。 いつの間にか移動用魔法陣の上に一人の男がやってきていた。 身体は小さく、ガリガリに痩せこけ、肌は病的なまでに生白い。ぼさぼさに伸びきった髪は目と鼻先まで達していた。前髪の先端のすぐ下にある口は笑っているように見えるが余り爽やかなものでは無い。むしろ妖怪に近いものを感じる。 肌を見ると五十代といったところだが、あまり健全な生活をおくっていなさそうな印象を差し引けばもっと若いともとれる。 しかし猫背で背を丸くしている所為で老人のような気さえする。 ともかく、その男の第一印象はあまり良いものでは無かった。 「彼はダクレー、元々は開発部の人間なのだが、この解決策の提案者であることもあるので、本日付けで研究部に異動、この魔導研究所における新しい“滅びの魔力”の研究者となる」 「ダクレー=バルドーです、よろしく」と、ダクレーはエイスに握手を求めた。 エイスはそれに応えると、アルムスの方を向いて言った。 「しかしそれではミルドはどうなるのです?」 「彼には既にダクレーを手伝うように話を付けてある。今あるデータをとったのも彼だ。最適だろう」 アルムスはそう即答した。予想された質問だったからだろう。同時にその声の裏ではそれ以上何も追求するなという念があからさまに込められていた。 しかし研究所内の人事は行政部長であるエイスの管轄だ。それを勝手に侵されたとあっては自分の立場がない。そういう意味で、エイスはアルムスに不満げな顔を向けたが、言及することは出来なかった。 渋々ながらエイスが引き下がった様子を見たアルムスは満足そうに頷くとダクレーに視線を移した。 「ではダクレー、今日から早速研究に入ってくれ」そしてアルムスはちらりと机の上に置いてある小型の魔導投影機のスクリーンをちらりと見遣る。「丁度“研究対象”も帰って来たようだしな」 そのスクリーンには数人の連れと共に街を歩く真直ぐな黒髪を背中まで伸ばした可憐な少女が移っていた。 ***************************** 「あ〜っ、やっと着いたで」 目の前にそびえる魔導研究所の入り口を前に、カーエスは嬉しそうに伸びをした。再び足元に置いてあった荷物を拾い上げると肩に担いで入り口に歩み寄る。 先ほど街に入る時にも出した“鍵”を扉の脇にある穴に差し込むと、扉はスルスルッと上に持ち上がった。 そしてカーエスは皆のほうを振り返る。 「俺が通ったらすぐ閉まってまうけど、こーやってココにある穴に、さっき貰うた“鍵”を差し込めばまた開くよって、心配せんでもええで」 それだけ言うとカーエスは扉を潜って中に入ってしまった。 リク達もカーエスにならって魔導研究所の中に入る。 そして、初めて魔導研究所の中に入った三人は驚嘆の声を上げた。 「ええっ……!?」 とてつもなく広いドーム状のホールだった。 面積だけではない。天井も遥か高いところに空の代わりに存在し、室内であると言うのに大樹が一本まるまるホールの真ん中に収まっている。 ともかく外見を明らかに上回る広さだった。 「魔法で空間を圧縮してるんスね〜」と、コーダがそう漏らすとカーエスが不満そうに口を尖らせた。 「今、言ったろ思たのに……」 「言わなくても魔導士なら壁とか見れば分かりやスよ」 無機的なメタリックグレーの壁に隙間なく刻まれた紋様が何らかの魔導技術を施されていることを物語っている。 リクがあたりに視線をさまよわせながら言った。 「ともかくこのエンペルファータ全体が魔導技術の粋を集めて造られてるってことだな」 ホールからは入り口から向かって左右、正面の三方に大きな廊下が伸びていた。右には『研究・開発室棟』、左には『魔導学校棟』、そして正面には『住居・宿泊施設棟』と廊下の上に案内用の板が取り付けられている。 案内人・カーエスの後に続くリク達は『魔導学校棟』への道を進んで行く。 「みなさま、この廊下の天井を飾っている天井絵を御覧下さい」 「その気持ちの悪い裏声は止めろ」 女性観光ガイドを真似て、声を裏返したカーエスの喉元にまたしてもジェシカの槍が突き付けられる。 たしかに、はっきり言って気持ちのいい声ではない。 「で? 天井絵がどうかしたのか?」 リクが説明の続きを促すと、次に上がったのはコーダの声だった。 「へぇ、『愚者から賢者への物語』スか」 「また先に言われるし……」と、カーエスは肩を落とす。 「『愚者から賢者への物語』って、……あの説話のか?」 それはこんな物語だった。 いろいろな知識を求めて旅をする愚者の前に、一人の賢者が現れ、様々な知識を与えて愚者を賢者にする、そして賢者は最後に時空を超える方法を授けて消えてしまう。 そして賢者となった愚者は気が付いた。 今まで愚者に知識を与えていた自分は、最後に授けられた方法で、時空を超えて未来からやって来た自分なのだと。 だが最後に愚者は一つ疑問を残してしまう。 今自分は賢者だが、今持っている知識は賢者に与えられただけのものだ。 しかし賢者もおそらく以前は愚者で、やはり未来からやって来た賢者から知識を与えられたのだろう。そしてその賢者も同様に。 ではその知識を本当に得たのは一体誰なのだろうか、と。 教訓も何もない、ただの話だったが、説話なんてそんなものだ。 たしかに廊下の天井を飾る絵は『愚者から賢者への物語』を絵で表したものらしい。 「というより、ある遺跡で見付かったこの天井絵のオリジナルから、解釈、文章化された物語なんス。これはレプリカみたいっスけど、本物とほとんど出来は変わらないんじゃないスか?」と、コーダは説明を締めくくった。 「……お前、ホントに物知りだなぁ」と、感嘆の息と共にリクが言った。 するとコーダはへへへ、と照れて笑った。 「あらゆる情報を提供してこその便利屋家業ッスよ」 「しかし、偶然なのか狙ったのか知らねーけど皮肉なもんだよな」 リクの漏らした一言に一同が揃って首を傾げた。 代表するようにジェシカが尋ねた。 「どういう意味でしょうか?」 「前に聞いた事あるんだけど、今一般に認められている魔導体系って誰が、いつ、どこで、どうやって作ったのか、まるで分からんらしいな。それでも魔導士は生徒達に魔導を教えるわけだ」 そこまで言った時、全員が納得した。 魔導士を賢者に、生徒を愚者に、そして魔導体系を知識に置き換えれば、ほとんど『愚者から賢者への物語』そのままの話になってしまう。 「……確かに」 「兄さんって、頻繁に質問をする割に、時々凄く鋭いこと言いやスよね」 そう言ったコーダをジェシカはじろりと睨んだ。 「時々は余計だ」 「ちょっと待てい!」と、そんなジェシカを今度はカーエスが睨む。「何で俺ン時と違うて、コーダん時は槍突きつけへんねん! 不公平やないか!」 そしてびしっと勢いよく指を差す。 「隙が見付からなかったからだ」 平然と答えたジェシカは、自分を差しているカーエスの人さし指をおもむろに掴んだ。 「貴様と違ってな」 そう付け加えると、手にした人さし指を手の甲に向かって反り返らせ始めたものだ。たちまち身の毛もよだつ激痛がカーエスを襲い、悲鳴を上げさせる。 「いでででででっ! 折れるっ! 折れるぅっ…!」 そのやり取りを見ていたリクとコーダは顔を見合わせた。 「何かカーエスって……」 「……完璧イジメられキャラっスね」 リクの隣にいたフィラレスも、こくりと頷き同意した。 『愚者から賢者への物語』の天井絵を見上げながら真直ぐに伸びる廊下を歩いていくと、やがてさっきの中央ホールと同じようなドーム状の、しかしずっと小さい部屋に出た。 「ここが学生ラウンジ。授業や修行の合間の憩いの場や」 そこには向かい合ったソファが何組か置かれ、ところどころに観葉植物が添えられている。そしてソファには、お茶を飲みながら談話している学生らしき若者がたくさんいた。 カーエスは、それらの若者達の姿を見かけると嬉しそうに話し掛けた。 「ようっ皆の集! 精進しとるかぁ!?」 その声に学生達が一斉にカーエスのほうを向いた。 そしてざわざわと騒ぎ出す。 「カーエス先輩だ! カーエス先輩が帰って来たぞ!」 「えっ!? マジ!? どこどこ!?」 騒ぎはあっという間に広がり、堰をきったように、学生達がカーエスに群がり出した。 「カーエス先輩! お帰りなさい!」「どうでした!? ファトルエルの大会!」「勿論優勝ですよね!?」「当然だろ!? あれだけ強いんだ!」 学生達の問いに、カーエスは何かを濁すように笑って報告した。 「済まんなぁ、あかんかったわ」 「え〜っ!? うっそ〜!?」「どっか調子悪かったんですか?」「相手が汚いヤツだったんだよ、きっと!」 生徒達の反応に、ジェシカが驚愕に眉を潜めた。 「し、信じられん……、私は奴の妄想世界に迷い込んでしまったのか……?」 その横でコーダが苦笑する。 「気持ちは分かりやスけどねぇ……。兄さん、どう思いやス?」と、コーダはリクに話を振った。 「ま、アイツの実力からしたら可笑しくはねーと思うけど?」 実は今、彼らの憎しみの対象となっている“尊敬する先輩を倒した相手”というのが、このリクである。 普段の、ほにゃららした態度とは全く違ったカーエスの実力に、リクは大いに苦戦した。 リクはもう一人、もとい“二人”の魔導研究所出身の魔導士と戦ったのだが、彼らにもかなり苦しめられた。 つまり、魔導研究所にいる魔導士はエリートであり、その名を背負ってファトルエルの大会に出る魔導士は、その中でも特に優れたエリート中のエリートなのだ。 リクはその魔導研究所の魔導士の質の高さを、身をもって知った。そして、それらの魔導士が育った環境を見てみたいというのが、彼がこの魔導研究所を訪れた動機の一つなのだ。 「しかしこの場にいる魔導研究所出身のファトルエルの大会出場者はメガネ男だけではないというのに……」 まだ不満そうに言って、ジェシカは視線をフィラレスに向けた。 そのタイミングにあわせるように学生達も、ようやくフィラレスの存在に気付いたらしかった。 リク達がそう感じたのは、明らかに彼らの雰囲気が変わったからだ。 「ふぃ、フィリーもいたんだ?」 「大会……どうだった?」 フィラレスは黙って首を振って応えた。 「そ、そう。あなたも駄目だったの」 「それは残念だったな」 一応顔は笑っていたが、会話も含めて明らかに義理だった。 そしてその裏には並々ならぬ恐怖が見えかくれしている。 その理由は、リク達にもよく分かっていた。 それはフィラレスがもっている魔力だ。“滅びの魔力”と名付けられたそれは名前に負けない圧倒的な強さと、そして所有者である彼女自身でさえ制御出来ないくらい獰猛な性質をもっている。 ここ魔導研究所で“滅びの魔力”が暴走し周りに被害をおよぼした話は彼女の師であったマーシアから聞いている。そしてリクは実際に暴走に遭遇した事さえある。 だからリクはその威力もよく知っているし、彼らの恐怖も理解出来た。 ふと、カーエスを見ると先程までの締まりのない顔は影を潜め、実に複雑な表情をしていた。 (カーエス……) 彼のフィラレスに対する感情、そして学生達のカーエスに対する感情。それらを考えると彼が表情通りの心境であることは想像に難くない。 すこし気まずい雰囲気が場に混じり始めたところに一人の中年男性がラウンジ内に入って来た。禿頭にすこし腹の出た一般的な中年体型の持ち主である。 その姿を見てカーエスが声を上げた。 「校長!」 「カーエス君にフィラレス君、御苦労さん。よく帰って来たな」 そう言いながら、魔導士養成学校長・ドミーニク=バージャーはカーエスを囲う学生達を分けて彼に歩み寄り、その肩に手をおいた。 「帰って来たばかりで悪いが、所長がお呼びだ。挨拶と報告に行って来てくれ。できればそこの人達も一緒に連れて来て欲しいそうだ」 その言葉にカーエスは露骨に嫌そうな顔をした。 |
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